1.広島ってどんなとこ?
私はバツイチ独身で愛知在住だが、故郷は広島だ。ついでに言うと母方の呉が第二の故郷だ。
広島は瀬戸内海に面し、全ての自然がある素晴らし場所だ。海や島は無論、山に囲まれ、
多くの河川が流れている。故郷を離れて17年になるが、改めていいとこだと思う。
2023年の年末に、私は敢えて実家には寄らずに改めて独りで故郷を旅行してみた。
正直に言うと、大好きな浜田省吾のLIVEを観に広島に行ったついでなのだが、一人旅だし
特に予定を決めず、有給とって久々に故郷をゆっくり回ってみようと思った。
私が広島出身と人に話すといつも返ってくる言葉は、広島カープ/宮島/もみじ饅頭/
お好み焼き、といったとこだ。確かにそれらは県民としては誇っている。けどそれだけではない。
今回の一人旅の体験も踏まえながら、一体何がそんなにいいのか紹介していきたい。
2.広島へのアクセス
広島へは、やはり新幹線利用の方が圧倒的に便利だ。遠方からだと飛行機という手段もあるが、
広島空港は広島市中心から50km近く離れた山中にあり、瀬戸内海沿岸の主要都市から遠く
アクセスが良いとは言えない。
広島市内に限っては、路面電車とバスがひっきりなしに運行しているのでどこに行くにもさほど
問題にはならないし瀬戸内海に面した都市部への移動もJRでカバーできるが、広島の7割以上が
山林なので、山間部にも行くなら車での移動が便利だ。
私は車やバイク好きなので、今回は名古屋から5時間かけてマイカーのアテンザで移動した。
3.広島観光の見どころ
1)お薦めスポット
①原爆ドーム・広島平和記念資料館
私の実家は原爆投下の爆心から10km程度の場所だが、爆風で自宅は半壊し黒い雨も降った。
父の姉妹の一人が中心部で被爆し亡くなってもいる。何が言いたいかというと、広島と長崎の
原爆資料館は、核攻撃がもたらす地獄絵図をリアリティをもって知ることができる
日本唯一の場所であり、一族に被爆者を持つ私としては、一人でも多くが是非ここを訪れて
原爆投下で何が起こったかを知って欲しいと思っている。
私は今回の旅で、リニューアルされた資料館を初めて訪れたが、やはり衝撃を受けた。
②宮島(厳島)
御存知、日本三景宮島へは広島駅からJRで行く方法と路面電車で行く方法がある。
おススメは路面電車だ。道中の海岸線の景色を楽しめるのは両方同じだが、路面電車なら
宮島への連絡船がでる“宮島口”に直接乗り入れてる。広島市内から車で行く方法もあるが、
国道2号線ルートだと宮島ボートの前を通ることになるので、競艇の開催日に注意が必要だ。
連絡船は松大汽船とJR西日本の二択。どちらも15分毎にでており、片道100円程度で安い。
カーフェリーなので車両も運んでくれるが、バイクならともかく車で宮島に渡ったところで
邪魔にしかならない。車の場合は宮島口に駐車していった方がいい。私は船が好きなので、
こういう連絡船の風情がてとも素敵だなと思う。桟橋に着くと早速、
鹿がいる。奈良公園の鹿ほど攻めてこないが、それでも食べ物を
露骨にちらつかせていると面倒なことになる。
ここで宮島について少し説明したい。宮島は厳島とも呼ばれるが、
由来は“神を厳き祭る島”ということらしい。その名の通り数多くの
寺社があるが、やはり宮島へ来たら、大鳥居がシンボルの世界遺産
“厳島神社”は外せない。
鳥居をバックに一枚撮るのが定番だが、私は一人なので自撮りだ。(-_-;)
寺社が好きな方は、その他も回ってみるといい。豊臣秀吉の造った千畳閣や
五重塔や多宝塔、様々な重要文化財クラスの寺社が楽しめる。
さて、私が宮島で強くおススメしたい場所は他にある。空海が開山したと言われる、“弥山
(みせん)”だ。標高535mあり、登山して上がる方法とロープウェイで登頂する方法がある。
何が良いかというと途上のロープウェイからの絶景と山頂からの絶景が堪能できることである。
晴れれば瀬戸内海の島々を一望でき、見事な風景が観れる。子供の頃から何度も観に来ているが、
この歳になって改めて独りで眺めるこの絶景は言葉で表せない感動があった。
言い忘れたが一つだけ注意が必要だ。山頂に猿の群れがいる。下界にいる鹿達と違いガラが悪い。
私は子供のころ、何度か宮島の猿から威嚇され食べ物を奪われた観光客を目撃している。
③広島駅前周辺
私が高校生くらいまで、広島駅はとても貧相な駅ビルだった。広島市より人口の少ない岡山駅の
方が立派な駅ビルだったくらいだ。駅だけでなく駅前も全くパッとしない風景だった。
私は今回の旅で一番度肝を抜かれたのはその風景の変貌だった。まず、この地域の発展は
広島カープの本拠地であるズームズームスタジアム建設を抜きには語れない。2010年まで
カープの本拠地として親しまれてきた広島市民球場とはスケールも設備も雲泥の差だ。野球が
好きな方には、アクセスが良くなった新球場でのプロ野球観戦を是非おススメしたい。
さらに駅前再開発によって区画整理され高層ホテルやタワマンが立ち並び、立派な駅ビルも
出来つつあった。この駅前再開発と球場移転建設は他県からも集客を呼び込んでいる様で、
広島駅前はとても賑わっていた。私は宿泊を駅前のAPAホテルにしたのだが、大きなベッド
に大画面のテレビ、大浴場に朝食バイキングと申し分のない設備で、快適な宿泊だった。
広島は路面電車が有名だが、何と間もなく駅周辺の路面電車が全て高架化され、駅ビルの2階に
入っていく構造になるそうだ。路面電車の高架化は恐らく日本初ではないか。只今絶賛工事中で
広島駅ビルの建設と合わせて、2025年の春には完成するとのことだった。
④海軍の街、呉
呉と言えば港だ。戦前から海軍の拠点として、現在は海上自衛隊呉基地として潜水艦部隊も
擁する、横須賀と並ぶ海自の一大拠点である。なので潜水艦を含めた護衛艦が勢揃いしており、
そのスケールに圧倒される。❝呉湾艦船めぐり❞でこれらを間近で見ることができる。一日5便
でており、1回35分程度で料金は2024年4月時点で大人¥1,700/子供¥500だ。
土日は事前時申し込めば、艦船の見学もでき、護衛艦によっては館内見学もさせてもらえる。
“アレイからすこじま”という公園からは潜水艦を含めた艦艇群を近距離で見ることができる。
呉湾を一望できるスポットもある。灰ヶ峰展望台/休山展望台といった呉湾を見おろす
展望台からは艦船の並ぶ湾を一望できる。夜景も素晴らしい。
呉港には“てつのくじら館・やまとミュージアム”がある。やまとミュージアムはその名の通り、
旧日本海軍の大和の歴史と他特集展示をやっている。戦史が好きな方には見応えがあると思う。
私としては特に❝てつのくじら館❞をおススメしたい。海自の退役潜水艦が展示してあるので、
場所は遠くからでもすぐ分かる。日本の潜水艦の歴史について学べるのは勿論だが、何より
私がお薦めしたいのは、日本の掃海の歴史について学べる唯一の資料館だという点だ。
太平洋戦争によってバラまかれた機雷で恐怖の海と化した日本近海を、戦後、多くの犠牲を
払いながらも命がけで除去してきた掃海部隊の歴史が学べる。
⑤尾道の景色
尾道は坂の街として、映画のロケ地として有名だが、特におススメなのは千光寺からの景色だ。
展望台からは尾道と海峡を挟んだ因島、それにかかる“しまなみ海道”のコントラストを楽しめる。
夜景もキレイなのでおススメだ。千光寺へはロープウェイも利用できる。
2)広島おススメのグルメ
①広島牡蠣・もみじ饅頭・あなごめし
いずれも定番の広島名物だ。あなごめしは少し知名度は低いかもしれない。並べて書いた理由は、
全て宮島で堪能できるからだ。というか、一度に堪能できるのは宮島だと思う。
宮島には表参道商店街という繁華街があるが、和食料理店の店頭で焼いている殻付きの焼き牡蠣
は美味だ。瀬戸内海沿岸には牡蠣を売っている水産業者が少なからずあるが、いずれも同様に
美味いと言われている。牡蠣好きな知人に時々これらの水産会社から牡蠣を送ってもらうが、
いつも絶賛される。
宮島表参道商店街には❝もみじ饅頭❞も様々な店で売られている。もみじ饅頭は広島駅でも高速の
SA/PAでも売られているが、宮島口や宮島では製造直売している店も少なからずあり、
出来たてが食べられるのだ。ここにしかないアレンジのものもある。私が子供の時は餡が
入ったものだけだったが、今では抹茶餡やカスタード、チョコやチーズまでが入っているものも
ある。しかもすっかり定着している。私も最初は❝そんなモミジは邪道だ❞とか思っていたが、
今は大好きだ。今回の旅行で初めて知ったが、もみじ饅頭を油で揚げ、❝揚げもみじ❞として
店頭で売っていて人気となっていた。聞けばもう何年も前からあるそうだ。
宮島で食べたい最後の名物は❝あなごめし❞だ。広島は牡蠣と並んで穴子も名物なのだが意外に
知られていない。広島であなごめしと言えば、宮島口に本店のある、❝あなごめしうえの❞だ。
香ばしくてやわらかく、鰻と違うさっぱりした触感で、値段も鰻よりは安い。私は昔から鰻より
アナゴ派だが、同店のあなごめしを食べたことがなかったので、今回の旅では必ず行こうと
思っていた。あなごめしは、宮島でも食べれる、島に渡ると高いのだろうと思っていたが、
私の感覚では、むしろ、❝あなごめしうえの❞より若干安い気がした。
とにかくおススメなので、宮島に行くなら是非食べてみて欲しい。
②お好み焼き
広島を離れて長いが、時々無性に食べたくなるのが広島県人のソウルフード、❝お好み焼き❞だ。
私の子供の頃は、広島では家の近所にお好み焼き屋さんが普通にあって、ラーメンを食べに行く
ような感覚で気軽に食べていた。
よく言われるが、関西風との違いは、混ぜる関西風に対して、広島のお好み焼きは重ねていく、
似て非なるものだ。うどんやそばを入れるのも大きな特徴だ。中高生の頃はこのうどんやそば
入りのお好み焼きを部活帰りによく食べた。
猫舌の人はお皿に入れてもらうのだが、鉄板で食べるのは最高に美味い。お好み焼き用のソース
と青のりをたくさんかけて、是非食べてみて欲しい。
市内の新天地という場所にある“お好み村”には、20店舗以上のお好み焼き屋さんが集まっており
作るとこを見てるだけでも楽しくなる。広島駅付近なら、❝ひろしまお好み物語 駅前広場❞か
❝みっちゃん総本店❞がおススメだ。
③むすびのむさし
私はアラカンで60年近く生きてきたが、日本で一番美味しいおむすびだと今現在も思っている
のが、❝むすびのむさし❞のおむすびだ。おむすびで、そんな大げさなと思うかもしれないが、
圧倒的な美味さだ。何がそんなに違うのか…やはりごはんの炊き方なのだと思うが、お米にも
薄く味がついているようで、海苔とのバランスも絶妙な加減だ。おむすび弁当も販売しているが、
こなんに美味いおむすびの入った弁当が美味くないはずがない。
広島駅も含め7~8店舗があったと思うので、是非食べてみて欲しい。
④広島菜漬
もみじ饅頭やお好み焼き程知れ渡ってないが、広島には❝広島菜漬❞という漬物がある。
実は、広島菜というのは九州の高菜や信州の野沢菜と並ぶ日本三大漬菜の一つに数えられる。
私の実家のエリアは川内という広島菜の一大産地で、❝広島菜❞の畑と広島菜漬の加工所もあった。
子供の頃、毎日のように夕食の最後には広島菜漬でお茶漬けを食べていた。
ご飯が何杯でも食べれる、広島菜漬も広島県人のソウルフードと言える。
⑤鳳梨萬頭(おんらいまんとう)
呉市の中通り商店街に天明堂という和菓子屋さんがある。ここの❝鳳梨萬頭(おんらいまんとう)❞が
私は大好きだ。おんらいとは中国語でパイナップルのことで、その名の通りパイナップルジャムの
入った甘酸っぱい饅頭だ。パイナップル入りというコンセプト自体珍しいと思うが、甘さも控えめで
お茶やコーヒーにも合う。こんなに美味しいのに広島駅や県内の高速道路SAとかには売っておらず
以前、アマゾンで買おうとして見当たらなくて、結局お店から直接お取り寄せしたことがあった。
ちなみにレモンジャムのタイプもあり、これも美味しい。
⑥レモンケーキ
広島県がレモンの生産量日本一だということは最近少しづつ広まっていると思うが、中でも
尾道市瀬戸田町の❝瀬戸田レモン❞は有名だ。最近は土産物コーナーでも、このレモン関連のお土産
コーナーが充実してきているが、私が一番おススメだと思うのはレモンケーキだ。
レモン半分の大きさのレモン味のスポンジ生地にホワイトチョコをコーティングしたあれだ。
レモンケーキはかなりの種類が売られており、どれも美味しいと思うが、私は子供時代から
食べていたタカキベーカリーのものが好きだ。タカキベーカリーは半世紀前は広島の地方のパン屋
さんでしかなかったと思うが、今や全国のスーパーのパンコーナーでもパンを売っている。
アンデルセンという名でもパン屋を展開しているのでご存知の方も多いのではないか。
4.まとめ
私はこれまで、いろんな大都市に転勤で住んできたが、年齢を重ねるにつれ故郷の景色を思い出す。
今回の故郷を巡る広島の旅は、広島の良さを改めて認識できた旅だった。
広島には山間部にも景勝地は様々ある。ただ私は、瀬戸内で育ったせいか、瀬戸内海やその島々に
一番の魅力を感じる。
呉で港町を楽しみ、広島へ。早めの夕食にお好み焼きを食べて、夜はプロ野球観戦し駅前に宿泊。
翌日、宮島に渡り、厳島神社で大鳥居をバックに写真を撮り寺社を巡る。弥山に登り絶景を堪能し、
帰りに商店街を通りながら土産を買い、宮島口に戻って早い夕ご飯にあなごめしを食べる。
帰りに尾道にもう一泊して、“坂の街”尾道や鞆の浦、そしてしまなみの風景を楽しむ。
一人旅ならこんなプランも、行き当たりばったりで満喫することが可能だ。
これからも、どんどん一人旅をして、知らないところを観たいと思っている。